マイホームか借家か

 戦後政府は住宅建を経済成長のエンジンとみなし持ち家の取得を国民に促してきた。柱となったのが住宅金融支援機構です。長期・固定・低利の住宅ローンが「誘い水」となって中間層の持ち家取得が増した。インフレ経済下では、返済の負担感は軽減した。
 デフレ下の借金は危険な行為です。返済滞納は90〜06年にかけて3340件から5万417件。成人後も親元で暮らす(世帯内単身者)が急増した。高齢者の80%は持ち家。今後は家を持たない高齢者が増し年金で家賃が払えない困窮者が社会問題になる。家余りが生じ760万戸。借家の延べ面積は持ち家の三分の一。借家は全住宅の40%。支援策がほとんど無い。今後は住むコストを、個人から社会シフトする。住宅費負担が軽いというのは社会の生活の安定に重要です。

第54代会長 谷口 弘