アメリカのウォル街のデモについて(会長スピーチより)

 所得上位1%の人々がアメリカの所得や資産の多くを独占していることに抗議している。
 ニューヨーク大学のウォルフ教授の研究によれば2006年時点でアメリカの所得上位1%の人アメリカの全所得の約20%を占めている。上位20%では全体の所得の61%を占める。資産の集中度はもっとも高い。上位1%の資産保有率は、アメリカの資産全体の34%を保有し、上位20%では、全体の85%を占める。1980年後半から上昇を始め20%の水準にまでなった。
 2000年より格差が問題視されてきた日本の1%の所得シェアはどうか?一橋大学の守口教授の研究によれば、1%の所得シェアは2005年で9.2%である。国際的には低い水準にも拘らず、2000年頃より格差社会という言葉がキーワードとなり人々の関心を集めた。日本より所得格差が高いアメリカでは、反格差運動は目立ってなかった。所得格差に対する反感は、格差の大きさだけでなく、所得階層間の移動可能性の大きさによって決定される。
 所得の低い人は永続的に低い。高い人は高いまま。
 誰もが将来豊かになれるという可能性を信じていれば、格差そのものには反対しないだろう。現在では固定化しつつある。

第54代会長 谷口 弘